聖堂前は道で転んだおじいちゃんを
冬に見舞った場所だ
ビールの出荷が行われている
私は明日はじめて親不知を抜くのだ
このタクシー会社が持っている敷地には
いつも車がみっしりだ
奥に建っているマンションから
斜めに窓の光が漏れている
今は夏だ
今日は虫も静かじゃないか
今夜はバス旅行だ
夫の待つ家まで帰ろう
思いイオンウォーターのあおいペットボトルを二本持って
青い柿の落ちている
猿蟹道路を通って
暗闇の中で虫の死骸を踏みながら
パリパリと
一つ一つ諦め
退化しないものとして生きた
日々をあとにして
それでも懸命に行こう
誰かの光ある家に住みつくだけのことを
今でも憧れて家々を覗きながら