いのちばっかりさ

生きている記録。生業。通信制大学。天平の甍、生の短さについて、狼煙

温かさと空

青の一面の聴覚をまとい

少し酔って上を見上げて待っている

大きな柿の実が

手入れのされていない木に成っている

川は珍しいくらいの暗闇に流れ

手は神社で合わせられたまま温かい

 

命よ死んでも生き続けたい

この幸福に

コーヒーが飲めなくてもいい

世界は完全に私の呼気のために

私たちの中に当たり前に育つ死

少しずつお互いを引き離す

 

この季節はすべてのものにお別れをして

それでも残っているものは来年に続く

稲穂よ一斉に隆起して

ひとのよろこびを守って

土偶の表面には縄目を刻み

文章は印刷されることもなく

電子の世界で光続ける