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いのちばっかりさ

その金字塔/ 絶対自立

世の中がみな敵だった人について

 その人は死ぬときまで、世の中をみな敵だと思っていた。私にはそれが思い出しやすい彼の性格として、残されているので嬉しく思っている。彼はまるでスサノオのように、高天原を荒らすつもりがないのに結果荒らしていたり、大事にしている皿は叩き割る人間で、葬式の日は誰も彼について、「彼は○○な人だった」と語れなかった。彼は愛でたその手で突き刺し殺す人だったので、誰も彼がどんな人だったか分からないまま葬式に臨んだのだ。その葬式の寿司は最上級品を私が選んだのでうまかった。

 

 彼を貫いたものは不信だった。誰もが思惑をもって利用し合い、おとしめ合うという疑惑と戦いながら、そしてその疑惑に人一倍敏感である自分自身を誇りながら、彼は世界にいじめられて死んでいった。私はその横で疑惑をともにしながら宗教じみていった。執着しない、というのが私のモットーで、執着しているにしろそれを他人に見せなかった。彼は反対に、すべてが欲しかった。なのにすべてを失った。そして死んでいった。愛している。

 

 あと葬式で受付する時めちゃ笑顔で受付やるのやめてください。サイコパスかと思って本当ビビった。

 

 

慈悲 (講談社学術文庫)

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ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

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