いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

井上靖『春の海図』

 世の中には、もう一度読み返しはしないけれども好きではある本というものがあると思います。読み返さないことで、かえってその断片が光り輝くような本。今日はその中の一冊をちょっと紹介して日記代わりにしたいと思います。井上靖の『春の海図』という小説です。ネタバレはしません。こういう本があると紹介するだけです。

 

 

春の海図 (1958年) (角川文庫)

春の海図 (1958年) (角川文庫)

 

 

  

 この小説は、簡単に説明すれば、りっぱな会社の社長の奥さんが自分の生活とか愛について色々と感じたりして、行動する話です。これを読んでみて下さい。この小説、恋愛ギトギトではないし、主人公の女性が過剰にへなへなしていないところが好きなんです。

 茨城県の五浦というところについての描写も好きです。ちなみに登山が好きな人も読んでみるといいかも知れません。登山家について触れている箇所があります。井上靖という人は、登山に関心があったのでしょうね。私はまだ読んだことがありませんが『氷壁』という小説も書いています。

 

 

氷壁 (新潮文庫)

氷壁 (新潮文庫)

 

 

 

 登山家をテーマにした小説としては新田次郎の『孤高の人』なども有名ですが、『春の海図』はまた違った視点で登山家を眺められる作品でもあります。『孤高の人』は別に楽しめなかったという方にもおすすめです。これ以上書いたらネタバレになってしまいますから、今日はこれまで。

 

 

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)

孤高の人〈上〉 (新潮文庫)

 

 

【『春の海図』の中に出てくる本】

 

茶の本 (岩波文庫)

茶の本 (岩波文庫)