中村白葉の自伝を読んだ。このひとはいつも感情的に涙もろいような人なのじゃないかと思った。人道主義的で、敏感というか、たぶん、私のゼミの先生もそういう人だったのかもしれないとふと思った。なんか人道的なところにさしかかると泣いてしまう、というような、そんな埒のあかない優しい様子をしている。たまには自分を持て余し、ひとをうんざりさせるようなところがある。よく『罪と罰』を愛している人にある、ある種のうんざりするような弱々しさと言うか、常に良心ゆえに気力の半分が腐れ落ちているような態度。それがフェイクなのか本心なのかは多分自分自身も分からないんだ。壮大な物語の中を生きているだけで、生産性もない。
中村白葉は、こんな翻訳をした人。
そして私は中国語を勉強しているのに、どうしてロシアの小説をこんなに読んでいるんだろうか。そしてこれらを愛している人たちとはうまくやれない。