いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

短歌

夏が来て昨夏からの山門不幸 札まだそこに 立ててあるけど

 

灌仏会 甘茶すすめるめる住職の 前に裸足で われはあがりぬ

 

甘茶とは 何かと知らず勢いに 飲んで驚き 後ろを見た春

 

世界中 裸足で会いに行く人に 釈迦と名をつけ 大事に守らん

 

雨脚が 寺の石垣舐めるとき 揺れる草花の 色を嗅ぎ取る

 

息を吐き 決断をして故郷へ 夫を伴い 戻っていきたし

 

ふるさとの 訛なつけし恐ろしき 怪談の家に 母は待ちつつ

 

しんだしんだと自分自身に言い聞かせたら 駅を出られる