思い入れがある一つの思いにとらわれながら
南北を移動しながら
薄緑色のロビーを上から眺めながら
聞き慣れない音楽と汗の匂いに噎せかけながら
ハイランズコーヒーでピーチゼリー入りのティーを飲みながら
僕はここまできた
この空港まで
残された詩は少ないが
私は歩いてきた
父の歩いた道を
薄緑色の家々を眺めながら
壊れたハーブに包まれながら
無力な自分とたくましい時代を見ながら
割られてなくなった遺跡
次々に発着するバスと上り下りする様々な人を見ている
世界に殺された父と
その足取りを踏み切るように気をつけて歩く
常に何かを細やかに展開できるよう気をつけながら
決して父に負けはしない
私は命を失わないで命だけを持っているから
中国の書店でいつも
父の夢を見る
仲間が寝静まったあいだ
うち負かし乗り越えて行くべき存在であるところの
その名前