いのちばっかりさ

生きている記録。生業。通信制大学。天平の甍、生の短さについて、狼煙

ある子育て

 

滑らかな頬を持つ子供を

僕は手のひらでかわいがった

この被害者意識に満ちた子供を

本当に悲しみを悲しめているとは信じず

ついに死に至るように都会へ逃げていくのを

まるで稲穂がしなるのを見るような気持ちで

 

田無行きの電車は空いている

見送って子供は

それもまたありだと思った

 

自分の子供はかわいがった

初めて社会とは関係なくこの手で抱きしめられる

そのすべらかな頬に触れて

夜な夜な喋り続けた

喜ぶ話をすると生きがいをかんじた

もっとかしこくなりたいと思った

子供がまるで家のように彼を守った