いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

兄弟について

 私と弟は同じ家に生まれて、同じ苦痛に耐えてきた。同じような侮辱を受け、同じような皮肉を忍んだ。そして今別れ別れになって、この広い世界で、どちらかが成功者となり、どちらかが敗北者になるってこともあり得るのだろう。広い世界で、どちらも平凡な人間ならよかった。でも、我々はどちらもどこかおかしく、どちらも何かしら捨てていて、もしかしてもし成功するなら、君の方が成功すればいいと願うのだが、でも姉として私は、君のどんな善意的な言葉も信用していない。だって、平気で人を傷付けるような場所で二人とも育ったんじゃないか。

 

 君がまるで自分を信用の出来る人間であるかのように語ると虫唾が走る。常に恩を仇で返し、人の者を盗んでは売り払って金を作った。