いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

ラナンキュラス

真夜中に一輪買った花を見ていた

くたびれたような枯れないような

微妙なバランスの花だな

上を向かせようとすると滑らかに戻る

この後ろから見た

項の様子などは母だ

くたびれたこの肌といえば

触ると冷たく

戻るとき横に首を振る

女の象徴のような花

首を立てに降って欲しいと

強く願った

首を縦に振ると

花も首を立てに振るった

なおも縦に振ると

縦に振った

激しくひとしきり縦にふれたあと

ラナンキュラスのピンク色の花は

身をよじり隣の雪化粧のサボテンに

思いの丈吸い込まれていった

排出されるように

夜のサボテンの中に身を打ち付け

花は消えた

まだ緑の蕾を何重にも隠していた

サンウェーブ製の流しに

指が凍りついている1月

ゴミ袋の裏からは呼吸が聞こえつついる

左ひじが痛んでくる