いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

冬に帰る

毛髪の毛先まで染透る夢を見た

壁は流れ落ちる水滴の色

自分にはとてもやれそうにない……

人間の為に作られた

グリーンユニットには鏡板が備わっている

いつも水垢で曇っている

言葉をかけないでほしい

まるで剥がれそうだから

川を見下ろす喫茶店

床がガラス張りでまるで天空のよう

布団の裏は川のようだ

虫のように眠る鹿を見て

もしも寿命が見えるのなら

いま川に映って遠くに山も見えるだろう

心がインターネットなら

この孤独は分類され

切り抜かれ

探し求めている

誰かのコレクションになる

引用され

苛まれる現代の家庭よ

犬になり私は

北海道の床下の檻に住む

諸問題のはらむ川を

米は吸い上げ

冬のさなかに酒にされて

酒造工はまた違う土地へ行く

写真をSDカードで腐らせて

川の底で眠る

また冬に帰る