2020-11-13 死ぬとき 死ぬとき、 この世界はみかん色で 水は今より冷たくて 見る景色は過去のことなどではなくて 体は静かな溶け出す溶液のようで 土偶の表面のあたたかさが肌全体にはりついて 一つの土になり 腐って気分が良くなる 稲穂はいっせいに起立して 長い雨のあとの心配もよそに 人々に糧を与えよ 通りに鳥が降り立ち そろばん学校のいちょうの木は実をつけ 斜面に子供らは歩き 書いた詩は電子の世界で白く光る