いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

青い柑橘

24時過ぎの電車で帰ってから

職場の白熱灯の光がまだ顔一面に染み付いている

マスクを外すと空気がよく

この家のあるあたりがとても好きだ

昨晩来年あたり田舎に帰ろうかと話した

あるきながら建物を見上げると

青い柑橘が影をつくった

視線は不意にその表面をなぞった

何年先の冬もきっと生きているだろう

何年先の春もあなたと迎えるだろう

大きな実をいくつもみのらせ

私の心は青の柑橘の表面に

頬ずりするように冷たさを愛した

赤い花の夜に咲くと見たものが

朝見れば紅葉であった