2020-11-04 青い柑橘 24時過ぎの電車で帰ってから 職場の白熱灯の光がまだ顔一面に染み付いている マスクを外すと空気がよく この家のあるあたりがとても好きだ 昨晩来年あたり田舎に帰ろうかと話した あるきながら建物を見上げると 青い柑橘が影をつくった 視線は不意にその表面をなぞった 何年先の冬もきっと生きているだろう 何年先の春もあなたと迎えるだろう 大きな実をいくつもみのらせ 私の心は青の柑橘の表面に 頬ずりするように冷たさを愛した 赤い花の夜に咲くと見たものが 朝見れば紅葉であった