いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

たわむレコード

塩分をとってしばらく

堀の縁でぼうっとした

あたり一面に美味しかった記憶 

あたり一面に抱きしめたうれしさ

あたり一面に過ぎ去ることの怖さ

雨のあとに枯れていくコスモスの花と人手

右手を大きく広げ

急に土が足から首まで詰まったようになった

見るものがない

見てくるものもない

新しいもの以外

狂い上がっている人間のことを避ける

たわむレコード

たわむレコード

たわむレコード

時代は夢の中で夢を恐れる

おき上がれば治る病気に苦しんで

走って変わっていく

それでも枯れながら

たわむレコードを打ち捨てて僕は

長いエスカレーターを巻いたら

上がらなくても良い道

下がらなくても良い道を

それでも勝手な気持ちで上下して

死んでいく壊れた生き物

田園まさに荒れなんとす

帰りなんいざ

中国でジャック・マーが当局に呼び出されたという

静かなニュースを聞きながら

私の中には燕三条

静かな雪が降っていた