いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

部屋探し

いのちを補強する

こまかな針金に

軌道をかえさせられ

かえる場所は

本当についてくる情景で

暗渠に住む人のように

下から見上げてくるかな

本当の最初の部屋は覚えていない

覚えてるうちの

最初の部屋は下に大きな他人の庭があって

誰もいない

おにぎりを投げると

そのまま見つからず朽ち果てた

毎日おにぎりばかり

もう食べたくなかった

それは喉につかえた

そのポールにしがみついた

投げ出して花になりたい

普通の部屋を得たいのだ

いくつもの仮住まいの部屋を得た

それは別として

二つ目の部屋は公園の隣

雨の日は学校に行かなかった

人が騒いで

うまく生きられなかった

目的まで遠すぎる決心をくじくためのような

立地

三つ目の部屋は

荒れた庭の隣

草木のにおいが優しく抱きしめる

夜は大通りを行くトラックの車輪と積み荷の音

鍵を忘れずかけた

真っ暗な夜

かがやき放つ孤独

美しい焦燥感

四つ目の部屋は丘の上

切り立つ川沿いの一等とんがったところ

下からはよく見えないほど生い茂った

木の脇

詩が消え去ろうとしている