いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

電車

これしか開かない窓から

地下の風が少しはいる

感染者が増えていて

どうして命が守られないのかと

思いながら

外の景色など楽しめるだろうか

当たり前に存在している他人の恐怖の気持ちも

断罪して解雇するとは

ホームに貼ってあるその黄色い線を打開して

楽になる人もいる

朝から嫌な言葉を聞いて

朝から変な仕事をして

生きて

無事に老いることができたら

無事に老いることができたら自分は

まだ二人でいられるのだろうか

死んだ人の靴を踏んだ

寿司を食べたあとに

つり革広告には旅館の写真が巻かれている

海と富士と絶景の美食宿

巧妙に隠されている

この世の装置

どこまで行っても地下の憂鬱

外が梅雨だろうが楽になる人もいる

ひたすら見つめているこの看板を

今は景色などどうでもいい

人が私をひどい目に合わせるのはいい

装置を利用するものによって

手を汚さず壊される

そういうことには耐えられない