これしか開かない窓から
地下の風が少しはいる
感染者が増えていて
どうして命が守られないのかと
思いながら
外の景色など楽しめるだろうか
当たり前に存在している他人の恐怖の気持ちも
断罪して解雇するとは
ホームに貼ってあるその黄色い線を打開して
楽になる人もいる
朝から嫌な言葉を聞いて
朝から変な仕事をして
生きて
無事に老いることができたら
無事に老いることができたら自分は
まだ二人でいられるのだろうか
死んだ人の靴を踏んだ
寿司を食べたあとに
つり革広告には旅館の写真が巻かれている
海と富士と絶景の美食宿
巧妙に隠されている
この世の装置
どこまで行っても地下の憂鬱
外が梅雨だろうが楽になる人もいる
ひたすら見つめているこの看板を
今は景色などどうでもいい
人が私をひどい目に合わせるのはいい
装置を利用するものによって
手を汚さず壊される
そういうことには耐えられない