昔は笑わなかったが
今は笑っていることが多い
世の中にある喜びがあまりにも強くて
どこかで見たように
笑っているとさらに全部面白く感じられる
頭が疑わしいほど無邪気に笑って
人事もたじろぐ
この瞬間だけだという神経が張り巡らされ
甘いクリームを舐めるように
細胞の一つ一つが爆発的に喜ぶ
幼い頃封じ込められていた喜びが
波に洗われて突如露出したように
自分でも意図しない方向にまで表情が動く
喜びながら自分の異常性について感じる
この喜びは社交的な喜びではない
実は暗いところから湧き出しているのではないか
笑っている時穴が空いて、
昔の瞳がみえる
「ばいた」と心で罵っている子供
若い祖母にラップの芯を投げつけた子供
小学校のエントランスで連れ去られ
用務員さんの幸せを願っていた
ボイラーの音を追いかけて指を切られそうになったあの時
嬉しくてくすぐったくて泣いていたから
早く桜を見せろはやく
私はいま苛立って要求しているのだ