いのちばっかりさ

その金字塔/ 心で価値を生みだすこと(銭湯をやる。その周りに家賃1万円の家を作る。)

詩100

青い

青蛙が便所で 鳴いてしゃがんでいる 窓の小さな隙間から 青空が見える 飛び出したい 川の流れが遠くに聞こえる 歩いて帰りたい 気持ちのいい詩を 書きたいぞ

冬の葬列

下痢をしてわかったのだが ジュースは甘い汁だ イオンウォーターも甘い汁 ずっと忘れていたこのような話を 思い出します 夏の葬列を読んだとき 素晴らしい図書館にいたこと 私は仕事ができない 同じ場所に座れない 踊りだして伊勢詣でに行ってしまいます ど…

通り

通りをゆく バスは短い方舟の航路を緑色になっていく 生の短さについて を読みながら 明日の死を思う 目的を果たしてゆけ 尊厳ある冬のために 仕事は静かに行われる 見えないように蓋をされた 貧困や苦境の上を滑って 土曜日も出勤をし 多くの人が死ぬだろう…

生業

27歳の11月 木は紅葉して日差しはあたたかい 布団を干した手すりに凭れ この土地は中野のはずれ 部屋の中には旦那がのたり 隣人が掻いてのけた草の 眼下の庭の隅によけられている 気まぐれに生えたキウイの葉には 放射線状の光がこぼれ 私はメガネを外す こ…

死ぬとき

死ぬとき、 この世界はみかん色で 水は今より冷たくて 見る景色は過去のことなどではなくて 体は静かな溶け出す溶液のようで 土偶の表面のあたたかさが肌全体にはりついて 一つの土になり 腐って気分が良くなる 稲穂はいっせいに起立して 長い雨のあとの心配…

借りた

家を借りたのに いつもここではない場所に行きたくなってしまう 違う気配に会いたくなってしまう 生きているのに 喫煙所を下からのぞきまわって 死んだ人を探してしまう バスで行くところはないのに バスに乗りたくなってしまう 死んでいくのに死にたくない …

青い柑橘

24時過ぎの電車で帰ってから 職場の白熱灯の光がまだ顔一面に染み付いている マスクを外すと空気がよく この家のあるあたりがとても好きだ 昨晩来年あたり田舎に帰ろうかと話した あるきながら建物を見上げると 青い柑橘が影をつくった 視線は不意にその表面…

たわむレコード

塩分をとってしばらく 堀の縁でぼうっとした あたり一面に美味しかった記憶 あたり一面に抱きしめたうれしさ あたり一面に過ぎ去ることの怖さ 雨のあとに枯れていくコスモスの花と人手 右手を大きく広げ 急に土が足から首まで詰まったようになった 見るもの…

冬の通勤

始まった冬 わたしたちは知らない人の顔を見て 電車に乗った 記憶の中に温かい蕎麦湯を抱えながら 雪国のみち 琵琶湖から見える凍りついた山 登れなかった立石寺なども抱えながら 都営大江戸線の大門を過ぎたとき 離れていながら 私たちはお互いを見ているだ…