いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

年相応に言うとなれば

次の一手がわからないのだよ

朝からクイックルワイパーかけて

ぼんやりと悩んでも暗闇のように

なにも見えないでいる

7月になればまた18きっぷで海まで行ける

ああいうとき

人生が不意にロマンスに引き戻される

頭痛がひどくて

風呂に入った後

トイレのドアの前で

ペドロ・パラモを読んでいた

死者と会話しても良いのだ

だが死んだ人も皆

暗闇に迷っていた

孤独に咽んでいた

だから答えを引き出すためでなく

空気の匂いを話し合うためだけだ

関内の駅を出たとき

サフラン酒とラーメンの匂いがすると

言った霊は嘘つきだ

サフラン酒の匂いはしない

きっとあの人の霊だろう

春は血管を割り開き

心をおかしくする

出払った夜に迷い出て

生垣に吸い込まれてしまいそうだ