いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

寝癖を直す女

 あなたの寝癖は10年前と違う方向へ進行しているな。だけどその土台の形があるかのように、基礎は変わらない。鼻の左右にあるくぼみを左手で触りながら寝癖をじっと見ている。水をかぶってブログを書こう。寝癖のせいで視界が邪魔されないようにしっかり寝癖を失活させて。窓から見える緑の色が随分変わったんだねもう夏なんだ。昨日の雷を忘れてあなたは布団から起きだしたんだな。恋人が置いていった赤いTシャツを着たね。古い椅子に座ってあなたは「年をとっていくのが仕事の中で、惜しい気がする。遊びながらなら良かった。詩を書きながらなら良かった、」と書いた。それは映画のワンシーンで書いている内容が主人公によって読み上げられるような記述じゃない。それは映画のワンシーンなら風にめくられるノートのページに一瞬だけ見えるのがふさわしいようなメッセージ。