いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

ずっと温泉入る女

 あるところに土日ずっと温泉に入る女がいた。よくいる温泉好きの女ではない。あんなグルメなインスタ映えな女ではない。

 

 6つの湯船を行ったり来たり、サウナなどにも脇目を振らず、ひたすらお湯に浸かり続ける女である。温泉が掃除の時間になると服を着て休憩室にある自販機の前に退くが、何も買わずにじっと光を見ているだけである。いかなる商品も女には購買意欲を起こさせないかのようである。

 

 彼女が土日以外の日をどう過ごしているのかは定かではない。ただ土日に関しては、彼女は可能な限り温泉に入っている。6つの湯船を行ったり来たり。彼女は入浴する人のお尻の割れ方を見るのが趣味なのである。入浴する人が後ろを向いた隙にそっと見ている。そのことを知ったのは三年前だったが、そのきっかけは人に話すことができるような、そんなブロガーネタではない。あんな商業趣味な話ではないんである。