いのちばっかりさ

生きている記録。生業。放送大学。本を読む。入道雲100年分。

『インド夜想曲』その中のタージマハル・ホテル

アントニオ・タブッキ『インド夜想曲

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 

 

 この本を読みはじめたのは、あの嫉妬に荒れ狂った月曜日である。なぜ嫉妬していたのか。それは「タージマハル・ホテルに泊まったの。」と話す友人が羨ましくて仕方なかったからである。タージマハル・ホテル?あのインドで一番のすばらしいホテルに泊まっただと?ふじゃけるな...!

 

 タージマハル・ホテルは、つまり私が知るところによればインドで一番高級で歴史あるホテルで、タタ・グループによって経営されている。インドの実業家のジャムシェトジー・タタ(Jamshetji Nusserwanji Tata)によって1903年に開業したこのホテル、現役で営業している。

 ある日、ジャムシェトジー・タタが当時ムンバイで一番のホテルに宿泊しようとしたところ、西洋人でないという理由で断られた。そのことに憤慨したタタは、この最高級のホテルを超える、さらなる最高のホテルを創設することを決意し、目玉が飛び出すほどの多額の資金を投じて、タージマハル・ホテルを創設。国民の意地を見せつけた。渾身のデザインは当時のいかなる建設をも凌駕していたそうである。

 

 このタブッキ『インド夜想曲』には『タージ・マハル・インターコンチネンタル・ホテル、Gateway of India ボンベイ』の項があり、私は嫉妬に苦しみながら、この項を読んで乾きを潤そうとした。ま、結果はもっと行ってみたくなっただけなのですが。まあ嫉妬という感情はあまり好きでないので、適度に解消していきたいものです。

 

 『インド夜想曲』は私のもっとも好きな翻訳小説のうちの一冊。原文で読みたいがためにイタリア語を勉強したい。

 

 「インドは文化がすごい!」「インドはヤバい!」「インドは死生観変わる!」みたいな本に辟易した人にもいいかもしれません。そういうところではない部分が面白い作品だから。誰しも感覚だけではなくて自分の物語も大切にするといいと思うのですが。

 

 私が書くことのできるいかなる感想もあまり意味がなく、この作品は読んでみてこそ面白いと思うので、ここにただおすすめすることにします。こたつで読むも起立して読むも、病院の待合室で読みながら待つもよいとおもいます。では。

 

 

 

  映画もあるみたい。

  このCDは関係ないと思うけど、やはりイタリアのグループによるもので、センスがいいと思う。le orme かっこい。でもCDは全然持っていないので集めたいです。

夜想曲   (紙ジャケット仕様)

夜想曲 (紙ジャケット仕様)

 

  一昨日でしょうか、テレビでタブッキの『供述によるとペレイラは...』という作品が紹介されていました。私は読んだことがないですが、読んでみたいです。なんだか白水社のフォロワーみたいになってきてしまいました。

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 

  ああもしも私が好きな本を好きなだけ好きなときに買えるくらい裕福だったら!しかし、きっとその次には、好きなときに好きなだけ好きなところに行きたいな、と思うだろう。